2023年10月04日
そもそも東洋医学って西洋医学と何がちがうの?
ブログ
院長の小畑です。
今回は、患者さんや一般の方からよく聞かれる「今さら聞きにくいギモン」に対してお答えしたいと思います。
「そもそも東洋医学って何?西洋医学と何がちがうの?」
というギモンです。
これはなかなかおおざっぱで壮大な疑問なのです。
一言では答えにくくて仕方がないギモンです。(笑)
でも多くの人が抱えているギモンなんだと思います。
今回は以下の観点から「東洋医学」を説明してみたいと思います。
◆目次
1. 歴史
2. 全体から見るか、部分を見るか
3. 見えないものを見るか、見えるものを見るか
4. 予防的に治療できるか、できないか
5. 要鍼灸院の目指すもの
1. 歴史
歴史で言えば、「西洋で発展してきた医学」と「東洋で発展してきた医学」ということになります。
皆さんが医療として知っているのは、実は明治以降日本にヨーロッパから伝わった医学です。
明治以前は実は違う医術が医療として行われていたわけです。
それが「東洋医学」。
国は、明治以降に日本に入ってきたヨーロッパの医学が「医学」であるとして、それまで存在してきた伝統医学を「医学ではない」としました。
現在、医療の中で薬の部分においてのみ、「漢方薬」という形で診療に生かされているというのが現状です。
鍼灸は「医療類似行為」(医療ミタイナモノ)、また気功や薬膳は民間療法の位置づけになってしまっています。
「医療みたいなもの」ってなんやねん!て話です。
日本ではそのように国が教育を行っているし、西洋医学が医療であるということを「常識」としているので、伝統医学のことをもはや大多数の人が知らないという状況なのです。
韓国や中国では、伝統医学を尊重し、「中医師」や「韓医師」として伝統医学の医師というポジションが医師と同等の立場で存在しています。
ですから、ドラマにおいても伝統医学の医師の話が頻繁に出てきますし、伝統医学を使って治療をするシーンがたくさん出てきます。
食においても、薬食同源といって、普段の食事が自分たちの健康を形作ることが文化や習慣に根付いています。
ですから「~の食材は~に効く」などという知識が一般に広く認識されていたりするのです。
日本では、このような知識はほとんど忘れ去られており、一般の人はほとんど知りません。
東洋医学好きな一部の健康意識の高い方々のみがこのような知識を持っているというのが現状です。
東洋医学を学び、実践している身としてこの日本の現状は、悲しい限りです。
分類のお話をします。
東洋医学は主に中国をルーツとして、朝鮮半島、日本に伝来してきた医学を総称しています。
大まかには、3種類あって、中国で発達した伝統医学、韓国で発達した伝統医学、日本で発達した伝統医学というのがあります。
要鍼灸院で行っているのは、中国で発達した伝統医学です。
この中でも、今の中国ができる前から師匠から弟子へと伝承されてきた伝統医学と、中国が建国された後に古典的医学書からまとめられた「中医学」があります。
ちなみに当院で行うのは前者の伝承されてきた伝統医学です。
このように歴史的な流れだけで言っても「東洋医学」というのはいろいろと細分化されます。
2. 全体から診るか、部分を診るか。
「東洋医学は人を見る、西洋医学は病を見る」などとよく言われます。
要するに、病を見る時に、東洋医学は必ず「全体から」体を見るのに対して、西洋医学は「部分」を突き詰めて見るのが特徴といえます。
ですから西洋医学では、科目に分けて体を細分化し、それぞれの科目のスペシャリストに分かれて体を診察します。
また、顕微鏡などを使い「部分を突き詰め」、どんどんミクロの世界に入っていって、ウイルスや菌、細胞の病変やたんぱく質の異常などを発見し、それを病の原因として対処していきます。
それにより今まで見つかっていなかったものが見つかり、対処できなかった病に対処できるようになっているケースもたくさんあります。
その一方で、細分化・専門家しすぎるがために、体全体のつながりが見えないという側面があります。
ですから、原因がうまく見つからない場合に、いろいろな科を回されて結局何が原因かわからない「たらい回し」状態になって何が不調の原因か見つからない場合があるのです。
そのような時には、東洋医学の見方で、全体を通して体を見ると、どのようなことが起きているのか見えることがあります。
東洋医学では、内臓(五臓六腑)の働きと、体に起きる不調を常につなげて考えます。
五臓六腑のはたらきを、経絡(けいらく)というラインを通して気を流して体に伝え、血や水を巡らせて体は働いていると考えます。
そこに「陰」と「陽」のバランスを診ます。
つまり、仮に「腰が痛い」としても内臓や陰陽、経絡、血や水のめぐりをみます。
仮に「めまい」があっても同じようにみます。
つねに症状のある箇所だけを見つめることはありません。内臓と陰陽、気血水という全体のバランスから体を診ていくのです。
このような見方で体を診ていくと、病名が何であるとか、見える原因がどうであるということは、体を整えることにおいてさほど重要ではないのです。
内臓を整え、経絡を整え、気血水のバランスを整えると病名がわからないくてもカラダが改善してしまったりするのです。
(※あくまで簡略化した表現です。本来はもう少し複雑で難しかったりします。)
3.見えないものを見るか、見えるものを見るか
東洋医学では「目に見えないものと見えるものを両方見る」のに対して、西洋医学は「目に見えるもの」だけを信用できる証拠(エビデンス)とし、目に見えるもののみを頼りに病気を探します。
東洋医学では五感を使った診察で、脈や舌、顔色、お腹、ツボなどの状態から体の状態、ココロの状態を推察して診察することができます。
西洋医学では、検査機器を使った診察を重視し、血液検査、尿検査、バイタルチェック、心電図等による数値化されたデータ、エコー・レントゲン・MRI・CTなどによる画像化されたデータをもとに診断します。目に見えていないものはあまり診断の根拠としません。(精神科・心療内科をのぞく)
※実際には触診や打診、聴診など五感を使った検査も行われますが、最近ではこのような検査を行わないケースも多くなっています。
上にもある通り、西洋医学は見える原因がないと病とみなしません。
不調があっても原因が見えなければ、症状を止める「対症療法」のみを行うことになります。
要するに「ようわからんけど、とりあえず症状止めとくか。」という処置をします。
でも東洋医学には、目に見える原因がなくても、目には映らない原因を見る「見方」があります。
その見方から見ると、原因が簡単に見えたりするのです。
土台にあるそもそもの「物の見方」、もっといえば哲学や思想が違うのです。
ですから西洋医学の物の見方で東洋医学を見ようとしても、東洋医学の本質は見えません。
「エビデンスがない」などということになるのです。ですが、そもそも「エビデンス」という考え方そのものが西洋の哲学からくる考え方です。目に見えるものしか信用しないという立場です。
ですから東洋医学を理解しようとするとそもそもの「物の見方」から変えないと見えないわけです。
「気」という考え方そのものが最たる例です。
「気」は目には映らないけど、そこにあるとわかるものを指すのです。
「元気」という言葉があります。元気は目には映りませんが、「元気があること」は目に見えます。
そうやって物質としては見えないけどそこにあるのがわかるものは日常にたくさん転がっています。
「空気」「電気」「覇気」「勇気」「雰囲気」・・etc ほかにも体を診るために見る「気」がたくさんあります。
こういうものを診察の対象としていきます。
これらは機械で数値化したり画像化したりできないものなので、五感を使って読み取っていくわけです。
こういうものを見ていくと、簡単に原因が見えたりしますし、体全体のつながりが見えてきたりします。
ですから、「目には映らない原因」が見えますし、西洋医学的に「目に見える原因」が見えなくとも、対処の方法が見えてくるのです。
4.予防的に対処できるか、できないか
西洋医学では、症状や病が現れないと対処の方法がありません。
症状・病という見えるものを治療の対象とするためです。
ですから症状も病もない時に病院に行っても「何しに来たん?」ということになってしまいます。
当然、処方する薬も特にありません。
一方、東洋医学では症状や病気が現れていなくても、体に表れている目には映らない「サイン」を見て予防的に治療することができます。
それに必要なのが、五感を使った診察です。
脈や舌、ツボ、お腹、顔色などの状態を診ると、病に向かっている「サイン」を読み取ることができるからです。
本格的な病になる前に、未然に防ぎ、より良い体調に導くことができるのです。
5.要鍼灸院の目指すもの
当院が目指すのは、「体調120%の自分で、日常を充実してもらう」というところです。
病や症状を軽減するのはもちろんのこと、病に向かう前兆を未然に見つけて予防し、体調がより良い状態で日常を過ごしてもらいたいのです。
体調が良ければ、前向きに生きられます。
何かをする元気がわきます。何かを楽しむことができれば、人生が充実します。
より良い毎日を過ごしていただくことができるのです。
皆様にそんな毎日を可能な限り、私たちの手の届く限り実現していただけるよう最大限の努力をする。
それが要鍼灸院のポリシーです。
不調があって困っている方はもちろん、病を未然に予防し、よりよい体調を維持し、日常を豊かにする
ためにもぜひ当院にご来院ください!
要鍼灸院
https://kanjin-kaname.com
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