2023年09月16日
症例108 喘息・肩こりでお困りだった女性
症例
こんにちは、院長の小畑です。今回は喘息・肩こりでお困りだった患者様の症例です。
目次
患者様について
M様、40代、女性
肩こりがずっとあり、たまに首が回らなくなることがある。喘息があり、2~3日に1回発症し雨の日に強くなる、常に呼吸で音がする。という状態でした。
喘息の状態は?
そもそも喘息とは気管支という空気の通り道がアレルギーなどの炎症が起きることで腫れたり・むくんだり・粘液が過剰分泌されたりすることで狭くなり呼吸が苦しい・呼吸をするたびに「ゼーゼー」や「ヒューヒュー」といった音が出るといったような症状が出ます。
喘息がアレルギーによって引き起こされているというのが一般的な見解ですが、中には病院で検査をしても原因がわからないものも多くあります。M様も原因不明と言われているタイプの喘息でした。
東洋医学の目線で診察していった結果、M様のお身体は水分の循環が悪く、「気管の内側がむくむ」「水分が多くなって余分な粘液が気管内に分泌されやすい」などが起きやすい状態ではあると判断しました。この状況に加えてアレルギー様の症状が出ると気管の粘膜が充血して腫れが生じ喘息を発症させていると推測しました。
アレルギー様の症状が出る原因は不明ですが、体調や自律神経の働きなどの問題で気管の粘膜が刺激に対して過敏に反応することがあります。おそらくこの機序で気管の粘膜に何らかの刺激が入りアレルギー様の症状は発症していると読みました。
要約すると、身体の水はけが悪く「気管がむくむ」「気管に粘液がたまりすぎる」「アレルギーで気管が腫れる」の点が気管の空気の通り道を塞いで喘息を生じさせていると考えました。
肩こりの状態は?
肩こりは首~肩~背中にかけて張り感と鈍い痛みがある状況でした。
動作のチェックをしてみると、首を後ろに反らした時や右を向くときなどに右の首肩に痛さやつまり感を感じるという状況でした。首を後ろに反らす時や右を向いたときに右首が痛いというのは首の関節が狭くなって神経や軟骨などを圧迫している時の所見です。
首の関節だけで問題がある場合は首だけが痛いはずなのですが、肩や背中に症状が出ています。これは首の関節が狭くなったことで神経に圧迫が入り神経痛として肩や背中に症状が出ているというように考えられます。また首の関節が狭くなって神経を圧迫していたとしても症状がそんなに出ないことが多々あります。神経痛は自律神経の乱れで増強することがあります。M様のパターンも自律神経の乱れにより神経痛が増強して肩こりのような症状が出ていると診察から判断しました。
実は神経痛による肩こり症状はかなり多く、マッサージやストレッチなど何をやっても繰り返すタイプの肩こりはこのパターンがほとんどです。(当院の経験上)
どのように治療した?
喘息に関しては、「余分な水分の処理をしやすくする」というということが治療のテーマ。
肩こりに関しては、「自律神経の乱れを調整して神経痛が増強しないようする」ことがテーマということで治療を開始しました。
治療の頻度は最初の症状の強い間は1週間に1回のペースで、症状が軽減してからは少しずつ頻度を空けていく流れで進めていきました。
1回目後:首を右に向けた時の痛みが少し軽減、向ける可動域が増加。
2回目:前回後、喘息が2~3日軽減していた。首の痛みが全般的に軽減、首を後ろに反らした時の痛み、右を向いた時の痛みが減少。
3回目:喘息は起きる時もある。常時の呼吸音は減っている。肩こりもあるが、首を後ろに反らした時や右を向いた時の痛みは無い。
4回目:ある程度全般的に症状の軽減がみられる。次回2週間後。
5回目:肩こりは軽減している状態を保っている。喘息はほぼ発生していない。次回3週間後。
6回目:途中台風や大雨で天候が崩れた時に少し喘息が出たが治まった。肩こりは軽減している状態を維持している。
7回目:肩こりも喘息もかなり軽減している状態を保てている。以降は1か月に1回程度メンテナンスを行い良い調子を維持できるようにしています。
東洋医学的見立て
脈 天の六気:風 地の五運:緩・寒熱 人:営分に反応
舌:尖やや紅、暗
その他:背中・頭に汗をかく、立ち眩み、いつも眠い、痰がでる(無色・白色)
脾の気虚→脾虚湿盛→気管分泌物が増えるという機序を推測。
脾の気虚→心脾両虚→心火で肩こりは発生していると推測。
主に使ったツボ:太白、陰陵泉、大都、公孫、足三里など
施術者の思い
喘息と肩こりという慢性疾患にお悩みだった患者様の症例でしたが、鍼灸というのはこのような原因が不明確で治療法が確立されていないものに対して効果を発揮することが多々あります。長年の喘息は鍼灸で改善可能ですのでお困りの方はお問い合わせいただければと思います。
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