2023年02月24日
症例97 突発性難聴でお困りの女性
症例
こんにちは。院長の小畑です。今回は急な難聴でお困りだった患者様の症例です。
※目次の項目をタップまたはクリックすると項目の部分へジャンプします。
目次
患者様について
F様 50代 女性 会社員
来院の2週間前より耳閉感・難聴・めまい・耳鳴りを発症され、病院にて「突発性難聴」と診断された。受診後すぐにステロイド治療を開始。めまいの症状は改善したが、他の症状は残っているという状態で来院されました。
突発性難聴とは?
突然音が聞こえなくなったり、聞こえにくくなる疾患です。
西洋医学的には原因がはっきりしていませんが、ストレス・疲労・睡眠不足・ウイルス感染・内耳循環障害などが原因である可能性が高いとされています。
内耳の蝸牛にある有毛細胞が振動を感知してその情報を聴神経を経て脳へと伝えてはじめて「音」として聞こえます。この有毛細胞の血流が悪化したりウイルス感染すると、細胞が本来の働きをできなくなり難聴を発症します。
病院では傷ついて炎症を起こしている有毛細胞をステロイドを使って落ち着けたり、内耳の血流を上げて細胞に栄養がいきやすいようにしたりと投薬治療がメインとなります。
この治療で落ち着けることができれば一番なのですが、残念ながらそうもいかず症状が残ってしまうケースがあるのも事実です。F様の場合も病院にてステロイド治療はされていましたが、より早く治って、より後遺症が残りにくいようにするために鍼灸治療を行いました。
どのような状態だったの?
F様の場合ステロイド治療を行っていますが効力が少し弱い所見がみられました。この場合内耳の細胞がウイルス感染などによって炎症が起きている可能性が低くなります。
また東洋医学の目線で診察を進めていくと自律神経の交感神経が働きすぎている所見がみられました。交感神経が働きすぎると内耳を栄養している血管や毛細血管が収縮して細くなり聴力のために必要な細胞や神経に必要な栄養が供給されず聴力が低下してしまう可能性があります。
このことから交感神経の働きすぎにより内耳循環障害が発生していると推測しました。
どのように治療していったの?
交感神経の働き過ぎをおさえ、内耳の血液循環をよくして細胞や神経にしっかり栄養が行きわたり聴力が回復するように治療をしていきました。
どれくらいで良くなったの?
約2週間で回数は4回で改善しました。
治療の経過
突発性難聴の治療は早期に決着をつけるのが大事になります。というのも時間が経てば経つほど症状が固定されてしまうリスクが高まる為です。ある程度落ち着くまで通常は数日に1回のペースで行います。
来院時:2週間前より耳閉感、難聴、耳鳴り、めまい(ステロイド使用で消失)、次回3日後。
2回目:2日間、耳閉感が軽減していた。音が割れるように聞こえる症状は消失。次回4日後。
3回目:一時的に耳閉感が強くなったがその後軽減。耳鼻科で聴力検査を行った結果、正常値になっていた。次回1週間後。
4回目:耳鳴り・耳閉感・難聴の症状は無い。今回で終了。
という経過で回復されていきました。
東洋医学的見立て
※ここは専門的なお話になります。興味のある方はお読みください。
脈:弦、左尺位沈位内側が弱い
舌:暗青
その他所見:手足の冷え、腰の冷え、耳鳴り(高音)、めまい(浮遊性)、難聴(耳中で響く、こもる感じ)
ベースに腎精不足があり→肝血虚→肝うつ気滞→胆経気滞の流れで耳が栄養されなくなり発症したと推測。
主に使用したツボ:水泉、地五会、臨泣、百会
施術者の思い
突発性難聴の治療は時間との闘いです。発症したらすぐに病院で診察・治療を受けるというのは大前提です。その際に鍼灸治療を組み合わせるとより早く・より後遺症が少なく回復させやすくなります。またF様のようにステロイドの治療があまり効果を発揮しなかった場合は鍼灸治療がかなり重要になります。このことを覚えておいていただければ幸いです。
(※症例によって個人差はありますので、全ての症例に当てはまるものではありません。)
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