2021年04月07日
なかなか治らない「腱鞘炎」・・・なぜ?
ブログ
要鍼灸院の藤森です。
手や足など、使い過ぎると発症したり、または悪化するといわれている「腱鞘炎」。
一般的にはそういわれていますが、実は使い過ぎだけが治らない原因ではないことがよくあります。
今回は、そんなに使い過ぎがだけが原因ではない「腱鞘炎」の治りにくい理由と鍼灸治療はどのような方向性で行うかを、私の見解を交えてさせていただきます。
腱鞘炎になる一般的な原因
腱鞘炎とは書いて字のごとく、「腱鞘(けんしょう)」といわれる腱の鞘(さや)が炎症を起こした状態をいいます。
筋肉の腱は腱鞘という管状のトンネルの中を通って動くようになっています。
手や足の筋肉を過度に使うと、腱鞘の中で腱がこすれてだんだん腱鞘の内壁が痛んで炎症を起こすようになります。
この状態を「腱鞘炎」といいます。
一般的には使い過ぎによる、「使痛み(つかいたみ)」というものだと言われています。
こういったものは軽傷であれば、痛めた部分に負担がかからないようにするだけで自然治癒しますが、気をつけていても治らない例やそもそもほとんど使っていないのに腱鞘炎になった例も多数存在します。
なかなか治らない「腱鞘炎」・・・なぜ?
あまり使わないように気をつけていたり、そもそもあまり使っていないのに腱鞘炎が治らないことがよくあります。
腱鞘炎が治りにくい時に考えられる、よくある身体の状態を3つ紹介します。
胃腸の働きの低下による腱鞘炎
使い方や腱鞘炎の程度にもよりますが、なかなか治らないのは、筋肉や腱の回復する力が足りないからという可能性があります。
筋肉や腱の回復にはタンパク質などの「栄養」が必要です。
栄養は胃腸で消化吸収された食べ物が原料です。しかし、消化吸収する力が弱っていると筋肉や腱の回復に必要としている栄養が不足してしまいます。結果、回復が遅くなったり、なかなか回復が進まなかったりします。
要するに、「胃腸の働き」の低下が原因である可能性があります。
胃腸の働きが低下する原因は「身体の冷え」やストレスや体調による「自律神経の失調」などがあります。
鍼灸で身体を温めれるようにしたり、自律神経を調えるように働きかけると、このタイプの腱鞘炎は回復するようになっていったりします。
ホルモンバランスの乱れによる腱鞘炎
俗に「原因不明」と言われることの多いタイプの腱鞘炎です。当院の見解としては、ホルモンバランスの影響が関係している可能性があると考えています。特に女性で40代~60代の方や妊娠・出産後の方に多くみられる傾向にあります。(まれに男性でもホルモンバランスの影響で発生します。)
女性で40~60代や妊娠・出産後はホルモンバランスが不安定になりやすい期間です。この期間は女性ホルモンが分泌されにくい状態になり、脳からもっと女性ホルモンを出すように身体に指令を出すホルモンを分泌させます。この時に分泌されるホルモンには「身体に余分な熱」をもたせる作用があります。
腱鞘炎は「炎」という字のごとく炎症による熱をもつ疾患です。この余分な熱を発生させるホルモンが使い過ぎているわけではない腱鞘の内壁に炎症を起こさせ「腱鞘炎」を発症させたり、悪化させたりします。
ですので、ホルモンバランスを整え、余分な熱が発生しにくいように働きかけていくと改善方向に向かっていくようになります。
暴飲暴食による腱鞘炎
ホルモンバランスと同じように「余分な熱」が発生する理由の一つが暴飲暴食によるエネルギー過多です。飲食物のエネルギーは身体にとって非常に大事なものですが、余分なエネルギーは身体に「熱」を持たせます。この余分な熱が腱鞘炎の炎症を発生させたり悪化させてしまうことが多々あります。またこちらは男性に多いのが特徴です。
さらに、暴飲暴食は胃腸を疲れさせて働きを低下させるので、筋肉や腱の回復に必要な栄養素を吸収しにくくなり余計に治りにくい状況になります。
こちらの腱鞘炎を改善していくには、鍼灸治療と並行して食生活の節制をして頂くのが一番の近道です。
そのためにも、まずは自分がエネルギー過多だと知って頂くことが大事です。普段から炭水化物や脂っこいものを食べることが多かったり、お酒をよく飲む(目安:ビール350mlを1日1本以上、日本酒1合以上 ※個人差はあります。)方はエネルギー過多に該当する可能性が高いです。
食生活を節制するかしないかで治る速度に違いがでますので、「できる範囲で節制する」という意思も大事になってきます。
その上で鍼灸治療による「余分な熱の処理」を行うことで早期に改善していきます。
以上がなかなか治らない腱鞘炎の原因と理由、それに対する鍼灸での治療方針でした。
人間の身体には通常、痛めた部分を修復する力が備わっています。修復する力が正常に機能していれば、時間の経過とともに腱鞘炎の症状は軽くなっていきます。しかし時間が経っても変わらない、治らないものは修復を邪魔する因子が必ずあります。それが今回紹介した3つのパターンです。ご参考頂ければと思います。
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