2019年05月18日
症例27 胃の不快感に悩む女性(機能性ディスペプシア)
症例
こんにちは。今回は原因がはっきりとわからない胃の不快感(機能性ディスペプシア)でお悩みだった患者様の症例です。
目次
患者様について
E様40代、女性
主な悩み: 胃の張り、胃もたれ、胸やのどの詰まり感などの不快感
当院に来る数ヶ月前から上記の症状でお悩みだったEさん。
内科や消化器内科へ数件通院し、様々な病気を疑われ、胃カメラにCT、エコー、MRIなど様々な検査を受け、数種類のお薬を飲んできたそうです。
胃だけでなく、甲状腺や肺、胆のうなどの検査まで受けたとのことでした。
ある病院では胃炎と診断され胃酸を止めるお薬を数種類試したそうです。薬を飲み始めてすぐは少し楽になったような気がするものの、しばらく飲み続けているとまた胃が張ってきて余計に症状がきつくなる。そのようなことが何度かあったそうです。
所見
紆余曲折があった結果、最終的に診断を受けたのが、「機能性ディスペプシア」。
※機能性ディスペプシア・・・胃の痛みや胃もたれなどのさまざまな症状が慢性的に続いているにもかかわらず、内視鏡検査行っても、胃潰瘍・十二指腸潰瘍や胃がんなどのような異常がみつからない病気です。生命にかかわる病気ではありませんが、つらい症状により、患者さんの生活の質を大きく低下させてしまう病気です。
診断を受けたあと、Eさんは機能性ディスペプシアの治療薬を飲んでいたのですが、なかなか症状が改善せず辛い状況から抜け出られない。
そんな中、当院にご来院されました。
胃の不快感だけでなく、胸からのどに異物感があり、それが何なのかがずっと気になり、頭から離れない。
最初の2ヶ月ほどの間は、胃にはご本人いわく「チャポチャポする感覚」を感じておられました。
胃の不快感もさることながら、精神的にも症状が気になりすぎて不安感も強くなっておられる様子もありました。
胸やのどの異物感はそういった精神的ストレスから感じる症状です。東洋医学では梅核気(ばいかくき)といいます。西洋医学ではヒステリー球と呼ばれます。精神科的な症状の1つです。
Eさんの症状は、初診の段階で改善には時間がかかりそうな雰囲気がありました。
精神症状も出ていて、不安感が強かったからです。
この場合、不安からくるストレスで症状が途中で悪化しやすく、三歩進んで二歩下がるという状態が続きやすいのです。
治療と経過
最初の2ヶ月ほどはお腹の中にある消化吸収しきれていない余分な栄養を処理していく施術を行いました。精神的不安からくるストレスを取り除く施術も同時進行しました。
最初の2ヶ月は施術をすると少し症状が落ち着くものの2〜3日もすれば不快感が出始めてしまうという状態が続きました。
3ヶ月目あたりからはEさんが「胃が熱く感じる」という症状を訴え始めました。
胃腸に余った栄養が熱となり、胃の潤いを枯れさせてしまったのでしょう。
胃の中は胃酸と、それを中和する粘液とのバランスで胃の壁が傷つかないように保たれています。
胃の潤いが枯れるというのは、この粘液の分泌が悪くなり、胃液の中の酸が濃くなった状態と考えられます。
酸が強いと胃の壁が刺激され、患者様は熱を感じたり、ムカつき、不快感、胃の張りなどを訴えます。
そこからは胃に潤いを与え、胃の熱を取る施術を中心に行いました。精神的な不安感を抑えるツボも足しながら。
また、週に一回の治療だけでは改善が十分でないと感じたので、胃を潤わせるために使われる漢方薬、『麦門冬湯』(ばくもんどうとう)をご自身で購入し、飲んでいただくようおすすめしました。
これで鍼灸を受けていない間も毎日体に回復への働きかけがある状態になります。
その甲斐あってか、その後徐々に術後の経過が良くなっていき、「今週は比較的楽でした。」という感想も聞けるようになってきました。
途中、不安感から「先生、本当に治りますよね?」
と、来るたびに毎回お聞きになっておられましたが、前向きになっていただけるように毎回励まして帰るときには前向きに笑顔で帰っていただけるように心がけました。
その後、胃の症状は徐々に改善が進み、初診から約7ヶ月経った頃、Eさんの胃の症状はおおかた落ち着いた状態までたどり着きました。
その後も四十肩を発症し始めたEさんは継続して通院されました。
左右の両肩が順番に四十肩になってしまったため、トータルでさらに1年ほど治療を続けられました。肩の治療をしながら胃の治療も続けた事により、胃の症状は再発する事がない状態までケアすることができました。
現在はお体のメンテナンスのために1〜2ヶ月に一度通院されています。
今は胃の症状はほとんどない状態を保つことができています。
主に使用したツボ
前半: 内関、公孫、太衝、膻中、復溜など
後半 :足三里、 内庭、行間、陰谷、復溜、照海、太谿 など
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