2025年09月05日
五十肩について
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五十肩とは・・・
まず五十肩がどんなものなのか。一般的な定義をご紹介します。
五十肩(いわゆる frozen shoulder / 凍結肩)
- 40代~50代に多く、原因不明の肩関節痛と可動域制限を特徴とする状態。
- 特に「髪を結ぶ動作・帯を結ぶ動作が制限される」「他動でも制限される」のが特徴。
- 国際分類(国際整形外科学会や厚労省系ガイドライン)では、
- 「五十肩」=「特発性凍結肩(idiopathic frozen shoulder)」
- つまり 可動域制限を伴うもの を指します。

※肩関節周囲炎とのちがい
- 日本では昔から「五十肩」と「肩関節周囲炎」がほぼ同義で使われてきた経緯があります。
- しかし現在の整形外科の立場からは、
- 「肩関節周囲炎」=総称(広義)
- 「五十肩」=その中の一つの病態(狭義、可動域制限あり)
と区別するのがより適切とされています。
※肩関節周囲炎とは
- 肩の周囲組織(腱板・滑液包・靱帯・関節包など)に炎症が生じる病態の総称。
- 広い意味での「炎症性肩の痛み」を含む。
- そのため「痛みはあるが可動域制限が目立たないケース」も含まれ得ます。
五十肩の原因
一般的に医学界では「これが原因」という明確なものは特定されていませんが、以下の要素が関係していると説明されています。
- 加齢による変化
- 肩関節を動かす「腱板(けんばん)」や周囲の靭帯・関節包が年齢とともに弱くなり、炎症や癒着を起こしやすくなる。
- 血流の低下
- 関節包や腱板に十分な血流が行きにくくなり、修復力が落ちる。
- 炎症の発生
- 軽微な損傷や使いすぎにより炎症が起こり、さらに痛みで動かさなくなることで悪循環に。
- 生活習慣・全身的要因
- 糖尿病、甲状腺疾患などがあると発症しやすいとされる。
👉 要するに、「加齢・炎症・血流障害・動かさないこと」が組み合わさって肩関節の動きが悪くなる状態だと一般的には説明されています。
★当院の五十肩のとらえ方
しかし、当院では一般にいわれる上記のような説明だけで五十肩は説明しきれないと考えています。
なぜなら、加齢による変化だけであれば、五十歳前後で発症しやすい理由の説明がつかないからです。70歳、80歳と年齢を重ねるにつれてこの病態は増えると考えられます。
しかし実際に60歳以降の方よりも50代に多いのです。
当院では、これまでの臨床経験から、五十肩は女性ホルモンや男性ホルモンの減少との関係性が強いと考えています。
50歳前後というのは、年齢的にホルモンバランスが変化する年代と一致しています。
🔹 女性ホルモン(エストロゲン)と関節の関係
- 閉経前後の女性に五十肩が多いことが知られています。
- エストロゲンは コラーゲン代謝や血流維持、炎症抑制作用 に関わっており、これが減少すると関節包や腱板に微細損傷・炎症が起きやすくなると考えられます。
- 骨粗鬆症や腱板断裂など、肩周囲の疾患も閉経後に増えることから、ホルモン低下が一因になっている可能性があります。

🔹 男性ホルモン(テストステロン)と関節の関係
- 男性でも50歳以降に五十肩が増える背景には、加齢による テストステロン低下(LOH症候群) との関与が示唆されています。
- テストステロンには 筋肉・腱の維持、炎症抑制作用 があるため、減少すると修復力が落ち、炎症が長引きやすくなる可能性があります。

🔹 関連研究の例
- 海外の疫学研究では「閉経後女性に五十肩が多い」という報告があります。
- 糖尿病や甲状腺疾患などホルモン系の疾患を持つ人で五十肩が多いことも知られています。
🔹 五十肩の経過
多くの場合、数か月~2年程度で自然に軽快することが多いですが、典型的には以下の3期をたどります。
① 炎症期
- 期間:発症から2〜6か月くらい
- 症状:強い痛み、特に夜間痛(寝ているときにズキズキして眠れない)が特徴
- 肩を動かすと激痛 → 動かさなくなる
② 拘縮期
- 期間:数か月〜半年以上
- 症状:痛みは少し落ち着くが、関節が固まって動かせない(バンザイ・背中に手を回す動作が困難)
- 日常生活の支障(着替え、洗髪、背中を洗うなど)が目立つ
③ 回復期
- 期間:6カ月〜2年程度で徐々に改善
- 症状:痛みがさらに減り、リハビリや自然経過で可動域が少しずつ回復していく
🔹 ポイント
- 完全に放置すると、可動域制限(動かせる範囲の狭まり)が残る人もいる
- リハビリは炎症期の痛みが落ち着いてから行うことが重要
- 炎症期は無理に動かさず、痛みを和らげる工夫が中心
- 回復期には動かすこと・温熱療法などで柔軟性を取り戻す
五十肩は「加齢や炎症で肩関節が固まり、痛みと動きの制限が出る病気」で、急性期 → 拘縮期 → 回復期 という経過をたどります。
日常の腕や肩の使い方や使う頻度は発症の直接的原因ではありません。
普段と同じ使い方をしているだけなのに、発症することがほとんどです。
時間が経てば自然に改善することが多いですが、期間が6か月~2年と人によって幅があり、経過が長くなるため多くの方が苦痛で日常に支障をきたします。
中医学ではこう考える
五十肩(肩関節周囲炎)は、中医学では「肩痹(けんぴ)」「漏肩風(ろうけんふう)」などに相当し、痹証(寒湿や風邪による経絡阻滞) や 気血不足 の範疇で理解されます。臨床ではいくつかの証に分類され、それに応じて治療方針や処方が変わります。
🌿 五十肩の中医学的な主な証
1. 風寒湿痹(ふうかんしつひ)
- 特徴:冷えや湿気、天候変化で悪化。夜や寒冷で痛み増強。重だるさや動かしにくさ。
- 弁証:寒湿が経絡に侵入し、気血の流れを阻滞。
2. 気血瘀滞(きけつおたい)
- 特徴:刺すような痛み、固定痛。夜間痛が強い。肩を動かすと強く痛む。
- 弁証:外傷や慢性炎症で経絡に瘀血が停滞。
3. 気血両虚(きけつりょうきょ)
- 特徴:慢性的、痛みは軽いが長引く。だるさ、疲労で悪化。回復が遅い。
- 弁証:加齢や体力低下で気血が不足し、経絡・筋肉が栄養されない。
4. 肝腎不足(かんじんふそく)
- 特徴:慢性・頑固な五十肩。関節のこわばり、筋肉の萎縮、しびれ。高齢者に多い。
- 弁証:肝血・腎精の不足により、筋骨の滋養不足。
✅ まとめると、
- 急性期・寒冷で悪化 → 風寒湿痹
- 刺痛・夜間痛が強い → 気血瘀滞
- 慢性・体力低下型 → 気血両虚
- 高齢・慢性でこわばりや萎縮 → 肝腎不足
当院での五十肩の対応のしかた
ほとんどがこのタイプ
当院では臨床上、肝腎不足か気血両虚のケースが適用されることがほとんどです。
肝腎の不足を補ったり、気血を補う治療をしますと、結果としてホルモンバランスが整います。
肝腎の不足を補う際は、生殖器系のはたらきや老化を遅らせるのに大事な「腎」の働きをたすけます。
また気血を補うときは、「脾」といって消化器の働きをたすけたりする場合が多いです。
また上記の治療をすると、「寒」や「湿」の邪が抜けることも同時に起きます。
その結果、炎症期、拘縮期、回復期のそれぞれの期間が一気に早まきになります。
その場で痛みが消えるようなことがなくとも、かなり炎症期の痛みに苦しむ期間が短くなります。

「読み」と治療の「判断」で体全体が変化
このように、身体で起きていることを正確に読み、内臓を動かすことで、関節や他の部分にもどのような変化が起きるかを計算します。
少ないツボ、少ない刺激で体全体が変化
そして、その「読み」を正しくすると、体に働きかける最少限のツボで、必要最低限の刺激で、カラダ全体に大きな変化を引き起こすことができます。
五十肩は一定過程の早まきが中心!
五十肩は痛みを一時的に和らげることにほとんど意味がありません。すぐに痛みとこわばりが戻るからです。
上記のようにして五十肩から回復していく速度をあげるのが大切です。
五十肩は上記のように炎症期⇒拘縮期⇒回復期と一定の過程をかならずたどりますが、
それらを急激な速さで早まきにすることで、あなたが苦痛から解放されるのを助けます。
整形外科領域というよりは内分泌領域の症状であると考えてもよいはずです。
これらにより、上記三つの段階を完全に経過するのに1年以上かかるものが3~5か月程度に短縮されます。
その中でもとくに第一段階の炎症期が1か月以内に短縮されると相当ラクです。
個人差はありますが、確実に回復スピードを上げることができます。
当院ではこれまでたくさんの五十肩の症例をこなしてきました。
五十肩っぽい症状でお悩みの方は、ぜひ当院にいち早くご相談ください!
全力でサポートいたします!!
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