こんにちは。副院長の藤森です。

• 

今回は１０年以上前に発症した顔面神経麻痺が再発した症例です。

目次

1. 患者様について


2. 状態は？


3. 回復過程


4. 施術者の思い

患者様について

M様、５０代　男性

来院の数日前から急に顔の動きが悪くなり、病院にてステロイド治療を開始。

１０年以上前に発症したこともあり、その時も鍼灸治療（別の治療院で）を行っていたことから来院されました。

状態は？

全般的に動きが悪く、とくに鼻を動かす動作・歯をイーっと見せる動作が全くできず、目を閉じる・おでこにシワを寄せる動作もしにくいという状況でした。

目が完全に閉じないので涙がこぼれるという症状もでていました。

また１０年前に発症した際に後遺症が少し残ってしまい、今回の発症前も歯をイーと見せる動作は完全にはできない、鼻を動かす動作も少ししにくいという状況だったそうです。

このように顔面神経麻痺は程度が強かったり、今まで複数回発症していたり、年齢が高齢だったり、発症してからの対処が遅かったりなどの要素から後遺症が残ってしまうケースがあります。

回復過程

４０点柳原法という評価法（４０点満点で正常）で治療１回目の段階では１４点という数字でした。比較的重度の部類の顔面神経麻痺となっていました。※通常の柳原法はほぼ正常が４点、部分麻痺が２点、完全麻痺が０点でスコアをつけますが部分麻痺の範囲が広くてスコアがあいまいになりがちなので正常と部分麻痺の間（かなり軽減していてあと少しぐらい）を３点、部分麻痺と完全麻痺の間（重度の麻痺だがなんとか動くくらい）を１点として計算しています。

１回目：スコア１４点　疲れやイライラがあると症状強くなる（顔面神経の働きが低下するため）。治療の序盤は後遺症が残るかどうかが時間との戦いになります。最初の４回は週に２回、その後は週に１回のペースで治療をすすめていきました。

２回目：スコア１９点　おでこのシワ寄せ・強く目をつぶる・片目ずつ目をつぶる・頬をふくらませるなどの動作が少ししやすくなった。口笛を吹くのが問題なくできるようになった。涙はこぼれる。

３回目：スコア２２点　おでこの動きはかなり改善している。涙も少し減っている。

４回目：スコア２６点　目をつぶる動作、鼻を動かす動作がしやすくなっている。安静時の顔のゆがみが少し落ち着いてきた。次回から週１回のペースへ。

５回目：スコア３１点　おでこのシワ寄せ動作がほぼ正常に行えるようになった。目の動き、鼻を動かす、頬を動作がさらにしやすく。イーっと歯を見せる動作も少ししやすくなっている。

６回目：スコア３４点　目の動き・鼻を動かす・頬をふくらませる・イーっと歯を見せるなどの動作が少しやりにくい程度になっている。

７回目：スコア３５点　頬をふくらませる動作は問題なくれきるようになった。

８回目：スコア３７点　目の動き（軽く目を閉じる・強く目を閉じる）が正常になった。片目ずつつぶる動作が少ししにくい程度。

ここまで８回（約１ヶ月）でほぼ正常に近いスコアまで回復することができました。

顔面神経麻痺を繰り返すと、後遺症が残る確率がかなり上がります。スコアが３７点まで回復しているのは２回目の顔面神経麻痺を発症された方のなかではかなり回復が良かった例です。

ここからの治療は、前回発症後の後遺症が残っている状態のところまで回復できるか？

また顔面神経麻痺が悪化する要素であった、ストレスや疲労を軽減させて再発を防止するというのをテーマに治療を進めています。

今回の治療以降もM様には治療頻度を下げて治療を続けていただいています。実際、ストレスや疲労の軽減があり、顔の動きもスコアに反映されるほど顕著ではありませんがやや回復傾向にあります。

施術者の思い

２回目の顔面神経麻痺とのことで、なかなか治りにくかったり、後遺症が残ったりしないか心配でしたが、思いのほか回復も早く今回の顔面神経麻痺による後遺症もあまり残らずに回復して頂けてホッとしております。

今後は再発防止するために、良い体調を維持することはもちろんですが、良い体調で過ごせていると精神的に豊かになったり、頭のキレが良くなったりなど生活にとってもプラスなことが起きていくようにサポートさせて頂きます。