2023年06月03日
症例105 夜尿症にお悩みの中学生
症例
こんにちは。院長の小畑です。
今回は3歳の頃から夜尿症を発症し中学生になった今でもなかなか治まらずお困りだった患者様の症例です。
目次
患者様について
K様、14歳、中学生
病院にて夜尿症の治療を行っていたが、服薬や生活習慣の改善などが主な治療で、体質の根本的な解決にはなっていないとお母さまが感じられたため来院する流れとなりました。
どんな症状だったの?
3歳から発症し一時的に止まった期間もあったが、小学生くらいまでほぼ毎日夜尿症があった。現在は週2~3回発生している、という状態でした。また冬季は頻度が増える傾向にありました。
夜尿症とは
いわゆる「おねしょ」のことですが、5歳までのものは基本的には経過観察で大半はそれまでに治まっていくようです。
一応、夜尿症の定義としては「5歳以上で1か月に1回以上の頻度で夜間睡眠中の尿失禁を認めるものが3か月以上つづくもの」になるそうです。
現代医学的な原因としては、睡眠中の尿がたくさん作られること、膀胱が小さくて貯めれないことなどとされています。
治療は生活習慣の改善(規則正しい生活・夜間の水分摂取制限・寝る前のトイレ習慣・冷え対策など)、薬物療法(尿量を減らす薬・膀胱が縮まり小さくならないようにする薬)などを行うとされています。
K様の場合、薬物療法も試されていたようですが、出る尿の量は減ったようですが夜尿症自体は止まらなかったそうです。
ではどうなっていたの?
東洋医学的な目線で診察していくと、「膀胱に尿をとどめる力が不足している」ということが解ってきました。
膀胱は尿を貯める場所ですが、膀胱括約筋(ぼうこうかつやくきん)という筋肉が収縮(縮む)すると尿が漏れ出ないようストッパーの役割を果たします。逆に弛緩(緩む)するとストッパーが外れ尿が外へ出ていくというしくみになっています。
この膀胱括約筋のストッパーが正常に機能しないため尿をとどめておくことができず漏れ出てしまうと考えました。
どのようにすれば回復する?
この膀胱括約筋の働きは実は、自律神経によって行われています。ゆえに自分の意志でコントロールはできません。尿を貯める間は自律神経の交感神経が働き量が溜まるまで働きます。尿が溜まってきたら今度は副交感神経が働き始め膀胱括約筋が緩み尿が外にでます。
この自律神経の働きが乱れてしまうと、膀胱に上手に尿を留めることができず勝手に尿が出てしまうのです。
ですので自律神経が正常に働くように治療をして尿を貯める・尿を出すの調整がきちんとできるようにしていくとK様の夜尿症は改善していきます。
どのように改善していったの?
治療1回目:週に2~3回の夜尿症。尿を留める力の不足を補うように治療。(結果として自律神経の尿を貯める・出すの調整につながる)最初は1週間に1回の頻度で治療を行った。
2回目:夜尿症は1週間の間一度もなかった。引き続き同じ方向性で治療。
3回目:スケジュールの都合で治療が3週間空いた。1週間全く出ない時と、2日連続で出るときがある。全体的には回数は減っている。次回2週間後。
4回目:この2週間の間で一度だけだった。次回3週間後。
5回目:3週間で一度だけになった。症状がかなり減少してきているので、徐々に間隔を空けて発症しない状態を維持できるようにしていく。という流れで症状の改善が進んでいっております。
東洋医学的見立て
※ここからは東洋医学的な見解に基づいた解説を行います。専門的な内容になりますので興味のある方はご覧ください。
脈:緩(日によって洪・滑などが混じる)気分・営分に反応。
舌:淡紅(日によってやや暗・やや紅になったりする)
その他:軟便・眼精疲労・尿の回数が多い(外出時に増える傾向)などがありました。
基本は気のもつ固摂機能の失調がベースにあると考え、脾気を上げるように治療を行いました。
使用したツボ:太白、大都など
施術者の思い
おねしょの経験は小さいころなら誰しも経験があるものだと思います。しかし中学生になっても治まらないのは心配になりますよね。子どもの身体は不器用で調整が自分で上手にできないこともよくあります。しかし子どものもつ回復力は大人よりもずっと強いので、いざ治療を開始してみると今回のようにスムーズに改善が進んでいくことがほとんどです。病院へ行っても夜尿症が改善しないという場合は、当院で対応できますのでご連絡いただければと思います。
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