2023年04月22日
症例104 めまいで入院してしまった女性
症例
こんにちは、院長の小畑です。
今回は度々発症するめまいで入院し、退院後も変わらずめまいを発症しお困りだった患者様の症例です。
※目次の項目をタップまたはクリックでその部分へジャンプします。
目次
患者様について
T様 50代 女性
来院される1か月くらい前より、ぐるぐる回るめまいとそれに伴う嘔吐や手のしびれを発症。その後なかなか治まらず、さらに症状が悪化してしまい1週間入院となった。退院後は落ち着いていたがその後まためまいを発症してしまい薬もあまり効かずお困りだったところ来院されました。
どんなめまいだったの?
めまいは基本的に以下の2種類のケースが多いです。
良性頭位性めまい・・・頭の位置・角度によってめまいが発生する疾患です。「耳石」といわれる砂が頭の角度や位置により耳の中で動くことによってその動きから平衡感覚を検知して体のバランスをとっているのですが、砂が動きすぎて三半規管に入るとめまいが発生するといわれています。
メニエール病・・・耳の中でリンパ液や血流などの水分が溜まりやすくなり耳の中にむくみ(内リンパ水腫)が生じます。そのむくみが三半規管などのバランスを検知する部分に発生するとめまいを引き起こします。また繰り返しめまいを発症するのも特徴の一つです。原因は疲労・睡眠不足・ストレスなどが有力といわれています。
T様は、職場やご身内の問題などで10年ぐらい強いストレスにさらされている状況でした。また繰り返し発症していること、頭の角度はあまり関係ないなどの所見から「メニエール病」の可能性が高いとみました。
原因はなに?
東洋医学の目線で診察をしていくと、体質的に身体が冷えやすく水分の代謝が上手くできず「むくみが起きやすい」こと、冷えで胃腸の動きが悪くなり精神の安定に必要な栄養が作れていない・度重なるストレスなどから「自律神経の失調」がみられました。
自律神経が乱れて交感神経が優位になりすぎると、様々な「感覚が過敏」になります。この過敏になった状態に内耳のむくみが重なりより強い刺激が三半規管などに入りバランス感覚が過剰に反応しめまいを引き起こしていると推測しました。
どのように治ったの?
治っていくために、身体を温め胃腸を動かして、代謝を上げてむくみを減らす・精神の安定に必要な栄養を吸収できるようにする・ストレスを受けても自律神経に影響が出にくいようにする。ということをしていきました。
基本的に治療は3つの段階で進んでいきます。1つ目は症状軽減期(症状をある程度落ち着けさせる期間。1週間に1回で治療することが多い)、2つ目は安定期(ある程度調子が良くなったものがだんだん維持できるようになるようにする期間。2~3週間に1回で治療することが多い)、3つ目はメンテナンス期(いい状態を維持してある程度長期間過ごせるようにしていく期間。4~5週に1回で治療することが多い)という流れが一般的です。
治療回数は症状が落ち着き安定するところまで6回、期間は約2か月ぐらいでした。
1回目来院時:めまい、嘔吐、不眠、めまいの強烈な発作を2~3回繰り返している。最初はある程度症状が落ち着くまで1週間に1回のペースで治療を行う。
2回目:めまいは感じなくなった。少し眠れるようになった。不安感がある。次回1週間後。
3回目:めまいは感じない。寝つきも少し良くなってきた。次回は2週間後。
4回目:めまいは起きていない状態を維持できている。少し寝つきにくい日もある。次回2週間後。
5回目:めまいは大丈夫。寝つきもよい。次回3週間後。
6回目:めまいはなし。睡眠状況もかなり良くなっている。今回である程度安定して維持できるようになったと判断。以降はメンテナンスで良い状態を維持できるよう来院いただいています。
東洋医学的見立て
※ここからは専門的なお話になります。興味のある方はお読みください。
脈は左:緩細、右:弦やや滑、左尺内沈位弱
舌はやや暗・白苔・尖芒刺・辺紅暗
その他所見:手の冷え・頭に汗をかく・頭がぼーっとする・軟便のことが多いなどがありました。
腎精不足(腎陽虚)がベースで脾陽虚→肝心血虚で胆経疎滞が発生していると考えました。
使用した主なツボ:水泉・臨泣・百会・太衝
施術者の思い
当院ではめまいの治療をすることは珍しいことではありません。難病指定されている「メニエール病」にしてもそうです。治療をしていくとほぼ全員症状は良くなりますが、患者様の置かれている環境(ストレスが多い・疲労が多いなど)が変わらない限り再発のリスクがめまいを起こした患者様はほぼ全員にあります。もちろん治療をして二度と発症しなければ理想なのですが、原因が環境の場合は発症しないように上手く付き合う必要があります。今回のT様は定期的に治療をして調子の維持をしている結果、めまいの再発は起きておりません。めまいでお困りの方が上手に付き合えるようになる助けになれるよう今後も精進いたします。
※全ての方に当てはまるとは限りません。
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