2023年04月12日
症例103 首・肩・腕がつらくなる男性
症例
こんにちは、副院長の藤森です。
今回はとみお院開院当初からお越しいただいている患者様で、仕事をしていると首肩・腕がつらくなる患者様の症例です。
※目次の項目をクリックまたはタップするとその部分までジャンプします。
目次
患者様について
H様、40代、男性、公務員
来院の2年前よりデスクワークを長時間していると肩や腕に張りが出て、指の動きが悪くなるという症状を発症し、整体や整骨院で数か月治療するもあまり改善がみられなかったため来院されました。
どんな状態だったの?
頸椎の徒手検査で一般的なジャクソンテストとスパーリングテストという首の骨と骨の間隔をあえて少しだけ狭くして神経が圧迫されないかを判別するテストを行ったところ陽性反応がでました。ということは首の骨と骨の間で神経の圧迫がある可能性が高いということになります。
この場合「頚椎症」とよばれる首の関節が狭くなっていることによって発生する神経痛が肩や腕に張りやだる痛さを引き起こし、また指の動きを鈍くさせる要因になっていると判断しました。
なぜ頚椎症になったのか?
頚椎症の要因は様々ですが、H様の場合は疲労の増加が考えられました。
発症される少し前に職場の配置転換があり夜勤が多い部署になってしまったところから疲労が増えだんだん症状が強くなっていったという背景がありました。
では疲労が増えるとなぜ頸椎症になってしまうのでしょうか?
首の骨はまわりの筋肉によって骨同士の間隔が狭くならないように支えられています。しかし長時間同じ体勢でいると疲労がたまってきます。筋肉が疲労すると力が入りにくくなって支える力が減っていきます。そうなると骨同士の間隔が狭くなり神経を圧迫し始め神経痛を発現してしまいます。というのが疲労による頚椎症のメカニズムです。
そこに夜勤の長時間勤務により疲労状態が強くなることで疲労が増えて症状がなかなか治らないということと、
もう一つ、少し東洋医学的なお話が入りますが、夜眠らなければいけない時間に仕事をしていると「陰虚」という状態になります。陰虚の状態は詳しく説明すると難しいので簡単にいうと、体が余分な熱を持ち水分が蒸発しやすくなります。骨と骨の間にある椎間板というクッションは水分が豊富でここの水分が減ってしまい骨同士の間隔が狭くなります。
これらの状況から発症していると読みました。
どのように回復したの?
症状が軽減しある程度楽に過ごせるまで約1か月半(6回)、不安なく楽に過ごせるところまで約4か月(10回)の治療期間(回数)でした。ある程度症状が軽減するところまでは1週間に1回が理想のペースとして治療を開始。
1回目:治療後は少し症状が軽くなった。次回1週間後。
2回目:前回と症状あまり変化なし。治療後腕のだる痛い感じは軽減。
3回目:前回後しばらく症状が落ち着いていた。仕事をするうちに少しずつ症状がもどってきた。
4回目:長時間仕事をすると症状が出るが、来院当初より程度は軽減している。
5回目:前回治療後仕事中も楽に感じれることが多かった。
6回目:前回よりやや症状が気になったが総じて症状は感じにくくなっている。次回より2週間に1回の治療頻度へ移行。
7回目:かなり楽に感じる。仕事をしていると少し腕の張りを感じる。
8回目:前回以降症状は横ばい。
9・10回目:かなり調子が良い。仕事も長時間にならない限り肩や腕の痛みは出ない。次回より3週間に1回。
以降は現在に至るまで1か月に1回の頻度で「メンテナンス」で来院され、大きく症状が崩れることは無く比較的調子のよい状態を維持されています。
東洋医学的見立て
※ここからは専門的なお話になりますので興味のある方はお読みください。
脈:浮緩、奇経の督脈が出ている状態。
舌:紅、裂紋(多くて深い)、歯痕
その他:汗が多い、暑がり、眼精疲労、ドライアイ、夜中目が覚めるなど
体内陰陽の狂い、疲労による気血消耗、腎精不足が考えられた。
主に使用したツボ:申脈、後渓、衝陽、湧泉、陰谷、曲泉、腕骨など
施術者の思い
今回のH様のように夜勤が増えるというのはとても心身ともに負担が多くなります。人間は夜間眠る生き物です。慣れで適応しているように見えますが、必ず遅かれ早かれなにかしらの問題が発生します。私の臨床経験上ですが、夜に睡眠がとれていない方は高確率で不調があります。本当に可能な限り夜間は睡眠時間をとることをオススメします。
※全ての方に当てはまるとは限りません。
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