2023年02月25日
症例98 2度の手術でも治まらなった腰痛
症例
こんにちは、副院長の藤森です。今回は脊柱管狭窄症と診断され2度手術を行ったが腰痛や下肢の症状が残ってしまった患者様の症例です。
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目次
患者様について
M様、60代後半、男性、自営業
現役でバリバリお仕事をされているM様ですが、長時間立ちっぱなしで仕事をしていると、背部・腰・お尻がダル痛くなってくる、腰を前屈をすると腰が突っ張ったように痛むといった症状が主に気になる、仕事をまだまだ続けなければいけないので少しでも楽になれたらとの事で来院されました。
どのような状態だったの?
来院される2年前と今年の2回、脊柱管狭窄症が見つかり手術をされています。その時は歩くのも痛みがあるような状態(間欠性跛行)でしたが手術を行ったことでこの症状は改善されていたようでした。ですので今回の症状は脊柱管狭窄症によるものではないと推測しました。
疲労や筋力低下による老化の一種によって引き起こされているものではないか?と推測しました。
腰はとりまきの筋肉・靭帯・関節によって骨が支えられその形を保っています。しかし、筋肉は疲労によって支える力を失っていきます。支える力を失うと靭帯や関節の負担が増え、やがて上下の骨と骨の間隔を維持できなくなります。そうなると骨と骨の間にある神経を圧迫して腰痛・臀部痛・下肢痛を引き起こしたりします。
また年齢を重ねていくと筋肉力自体が低下するので支えがより悪くなりますので腰痛などの症状が発生しやすくなります。
ではどうしたらいいの?
老化や年齢と言われたらどうしようもないように聞こえますが、実はそうとも言い切れません。
筋肉は力を発揮するために栄養を必要とします。この栄養が腰の筋肉にしっかり供給できるようにすると疲れが出にくくなっていきます。また栄養供給がしっかりできていると傷めている部分や古くなった筋繊維などを修復しやすくするので疲労がたまりにく力が入りやすい柔らかい筋肉に少しずつ置き換えていけるようになります。
ですのでM様の治療は腰にしっかり栄養が供給され疲労しにくい状態にしていくという方向性で始めました。
どれくらいで回復したの?
回数は10回で期間は3か月でした。
経過はどんな感じだったの?
M様は60代後半ですが、されているお仕事がかなりハードなことと、回復力が同年代に比べ低下している所見がみられたため、ある程度症状の改善がみられるまで1週間ごとの治療を行いました。
1回目治療後:腰を前屈しやすくなった、前屈時のおしりの痛みが減った。
2回目:治療後、いつもよりは楽に仕事ができるように感じた。長時間前かがみになったり、座っていると腰痛が出てくる。膝が立ち上がる時に痛い。
3回目:調子よく感じる。膝の痛みは軽減。長時間立つと背~腰が痛い。
4回目:今週は仕事が忙しく痛みを感じることが多かった。
5回目:以前より調子はいいが仕事時の痛みは感じる。前屈できる角度がだんだん大きくなってきている。
6回目:休みの日でも同じ体勢で長時間いると腰に少し痛みを感じていたが今はあまり感じなくなってきている。前屈の角度はさらに大きく。朝起きる時に太もものだるさが気になる。
7回目:状態は維持。朝起きた時の太ももの痛みは無くなった。次回より2週間に1回。
8回目:仕事中の痛みを感じにくくなってきている。今までだと横になったり休憩をしないと痛みが落ち着かなかったが休憩なしでもある程度大丈夫になっている。
9回目:前回の状態を維持できている。
10回目:ある程度いい状態を維持できている。継続治療は一旦卒業となり今後は定期的・または痛みが出てきた時のメンテナンスに移行。
このような流れで回復されていきました。
東洋医学的見立て
※ここでは東洋医学の見解に基づいたお話をします。興味のある方はお読みください。
脈:左やや沈緩滑、右緩滑、左右尺位沈位内側が弱い、営分に滑
舌:やや胖大、やや裂紋あり
その他:夜間に尿4回、尿切れが悪い
腎精不足、腎虚、損病ベースがメインと捉えて治療。
主に使用したツボ:水泉、湧泉、衝陽、腎兪
施術者の思い
M様のようなタイプの腰痛は年間を通してもかなりのケースを診察いたします。疲労や老化で筋力が発揮しにくくなって起きるタイプの腰痛はマッサージをしても整体をしても手術をしてもなかなか改善しにくいです。腰をマッサージしたら血流が上がるから栄養状態は良くなるんじゃないの?という方もいるとはおもいますが、それは血に栄養がしっかり入っているという前提の話です。(なのでお若い方やアスリートなどはマッサージや整体でも改善しやすいです。)疲労状態を改善するということは土台の栄養吸収からきちっとできるようになって初めて栄養が供給されるようになります。今回のM様でもそれがしっかりできるように働きかけた結果改善につながっていった症例でした。
(※症例にによって個人差はありますので、すべての症状に当てはまるものではありません。)
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