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2022年12月24日

症例92 脊柱管狭窄症手術後でも症状がおさまらない男性

症例


こんにちは。院長の小畑です。





今回は脊柱管狭窄症の手術を受けて症状が少し軽減したが腰の痛みや下肢の痺れが残ってしまった高齢男性の症例です。




目次



  1. 患者様について

  2. どんな状態だったの?

  3. 症状が消えない理由

  4. 今の症状は何が原因?

  5. ではどのように治療していったの?

  6. 回復までどれくらいかかったの?

  7. 経過はどんな感じだったの?

  8. 東洋医学的見解

  9. 施術者の思い


 




患者様について





M様 80代 男性 会社役員





来院の1か月半前に脊柱管狭窄症の手術を受けて腰痛や歩行時の痛みが軽減したがまだ痛みや痺れが残っているとのことでお困りだったところ当院を見つけてご来院くださりました。







どんな状態だったの?





左の太ももに痺れがある、腰を反った時の重い違和感、長時間立っていると腰が痛む、少し長い距離を歩くと下肢に痛みが出るという状態でした。





脊柱管狭窄症は骨の中が変形して神経を圧迫することで腰・臀部・下肢の痛み・痺れ・違和感などを引き起こす疾患です。M様の場合手術により神経を圧迫している部分は除去しているので症状はやや軽減しています。しかし何故すべての症状が消えないのでしょうか?







症状が消えない理由





それは骨の中の変形だけが症状の原因ではなかったということです。脊柱管狭窄症の手術をしたのに症状が残ってしまったというパターンはこれにあたります。





画像所見上は神経を圧迫しているのですが、必ずしも痛みや痺れが出るとも限りません。(実際に痛くも何ともないのに画像所見で神経の圧迫があると言われるケースもあります。)





また、画像所見を撮る際は基本的に仰向けで行います。ですので仰向け以外の体勢(立っている時・歩行時・屈んだ時など)で神経を圧迫している場合は画像に映らないためその部分の圧迫や原因は見逃されがちです。





M様の場合は手術をして軽減はされているので脊柱管狭窄症があったことは間違いありません。しかし他にも原因が考えられるケースだったということです。







今の症状は何が原因?





原因は年齢と疲労です。このどちらの原因も骨と骨の間隔を狭くして神経を圧迫しやすい原因となります。





まず、腰の骨と骨との間にある椎間板というクッションは年齢とともに薄くなっていきます。また体調や疲労によっても厚みが変動したりします。腰の骨と骨の間隔を維持しているのは椎間板だけではなく、周辺の筋肉も関係じます。筋肉も骨の間隔が狭くならないように支えています。しかし年齢や疲労で筋力が出なくなり骨の間隔が狭くなりやすくなります。





このことから椎間板というクッションの減少と取り巻きの筋肉な支えが少なくなったことで腰の骨と骨の間隔が狭くなり神経を圧迫したことによる神経痛が原因と推測しました。







ではどのように治療していったの?





腰の骨と骨との間隔に余裕をもたせて神経を圧迫しにくいようにする必要があります。





椎間板というクッションは「水分が豊富なジェルクッション」のようなものです。体の水分量の調整で少し厚みをもたせ骨同士の間隔を持たせやすくします。





腰の筋肉ですが、疲れにくくして、支えができる筋力が出るようになることが大事になります。筋肉が疲れる原因の一つに「栄養不足」があります。腰の筋肉に必要な栄養が送られるようにして腰を支えることができるようになって骨同士の間隔が狭くなりにくいようにしていきました。







回復までどれくらいかかったの?





回数は16回、期間は約6か月でした。







経過はどんな感じだったの?





1回目施術後:左太ももの痺れが少しわかりにくくなった。





2~6回:下肢の痺れと長時間の立位での腰痛が軽減。





7~13回:歩行時の腰痛が少しずつ軽減。





14~16回:症状をほとんど感じない所まで回復。卒業。





という流れでした。







東洋医学的見解





※この部分は東洋医学的見解で診察の解説を行います。専門的内容ですので興味のある方はお読みください。





脈:弦洪、尺位沈位内側の脈も強い。





舌:淡暗、青黒い瘀斑。





他にも寒がりで冷え性などの所見ありました。





また脈証がその他所見と辻褄が合わず、この脈証は老化により固摂不足になったことでこのような脈が出ていると推測しました。





基本方針は脾腎陽虚・腎精不足・損病傾向と読み治療を進めていきました。





主に使用したツボは、衝陽、復溜、太谿、然谷でした。







施術者の思い





ご高齢の方で脊柱管狭窄症の手術を受けられている方は多いです。その中にはM様のように症状が残ってしまう方がいらっしゃいます。手術後症状が残ってしまった場合、西洋医学では手詰まりになってしまうことがほとんどです。そうなってしまった場合は東洋医学といった違う目線でみてみると原因が明らかになったりします。また脊柱管狭窄症でも程度によりますが、鍼灸治療のみで改善する例もあります。お悩みの場合はお問合せいただければと思います。


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