2022年01月29日
症例77 目の痛み、頭の熱さ、のどのつまり感でお困りの女性
症例
こんにちは。副院長の藤森です。
今回は痛み止めを飲んでも治まらない目の痛みや頭が熱くなる症状、のどのつまり感でお困りだった患者様の症例です。
目次
患者様について
H様 40代女性 会社員
来院の1週間前より目の奥や眉の付近が痛くなり、いつもであれば痛み止めを飲むと治まっていたものが、全く治まらず、ずっと痛みがあるとのことで来院されました。頭の熱さも常時ある感じでこちらも気になっている様子でした。
目の奥・眉付近の痛みの正体
目の痛みというと、眼精疲労が真っ先に思い浮かぶかと思いますが、あながちそうとも言い切れません。
目の表面にある涙が、血流不足により減少してゴロゴロしたり痛みが出たりするのは眼精疲労からきているものが多いですが、H様のように目の奥や眉付近が痛むものは「三叉神経痛」といわれる神経痛であることが多いです。
三叉神経は脳神経の一つで目・頬・アゴの痛みなどの感覚や筋肉の運動を支配する神経です。ここの神経になんらかの刺激や信号が入ると痛みや異常感覚が起きやすくなります。
なぜこれらの症状が出ているの?
キーワードとなるのは、「更年期のホルモンバランス」「ストレス」「自律神経」です。
H様のお身体では自律神経の一つである「交感神経」が働きすぎている所見が多数みられました。
交感神経が働きすぎる要因には「更年期によるホルモンバランスの乱れ」「精神的なストレス」などがあります。
交感神経が働きすぎると、身体がリラックス状態になれず気がずっと張っているような状態になり、身体の感覚(触覚・痛覚・圧覚など)敏感になったりします。
H様ですと、三叉神経痛が痛覚の過敏、のどのつまり感は触覚・圧覚の過敏による感覚異常で発生していると考えました。
頭の熱さはホルモンバランスの乱れからの要素が強くありました。女性のお身体は更年期に近づくと子宮から作られる女性ホルモンが減少しますが、同時に脳から女性ホルモンを出すようを促すホルモンが出ます。この女性ホルモンを出すよう促すホルモンに体温を上げる作用があり、頭に熱がこもりやすくなります。これが頭の熱さの一因と考えました。
どんな治療をしたの?
高ぶった交感神経を落ち着け、ホルモンバランスを整える為に、右足くるぶし付近にあるツボを使って治療をしました。H様のように自律神経の乱れにより感覚が過敏になられている方は、通常の方より鍼の作用が強く効きやすくなります。本来であれば、2・3本の鍼を使って治療を行いますが、効きすぎて逆効果になるのでH様の治療は途中から1本の鍼のみで行いました。
何回くらいの治療で回復したの?
特に異常なく過ごせるようになるまで5回くらいでした。
初診後:直後より目の痛みが無くなり、身体が軽くなった。鍼2本使用。
2診目時:目の痛みは週の後半までなく過ごせていた。頭の熱さは感じなくなっている。しかし少し左耳に痛みを感じる。鍼2本使用。
3診目時:前回後から左耳と左の頭に痛みが3日くらい続いた。それ以降は調子よく過ごせている。この段階で2本必要ない状態(回復してきて必要以上の刺激がいらなくなった)と判断し1本へ。
4・5診目時:1週間通して調子がよく過ごせて目の痛みや頭の熱さは感じない、左の耳や頭痛もなし。
その後は調子の良い状態をより維持できるようになるように間隔を空けながら治療を行っています。
東洋医学的見解
ここからは専門的な見解を加えた解説ですので、興味のある方はご覧ください。
脈:右やや洪滑、左やや弦洪滑、右尺位の内側沈位が弱い。
舌:淡紅、やや尖紅
症状:右目の痛み、頭の熱感、のどのつまり感
腎陰虚(腎精不足)がメインで陰虚火旺が発生して、頭部ののぼせから、目の痛みや頭の熱感を発生させていると考察。
のどのつまり感は基本的には肝鬱気滞によるものだが、H様の場合は、腎精不足からの精血が不足し、肝血の消耗につながり、肝血虚→肝鬱気滞となった為に発生したと考えた。
使用穴は基本的に「右照海」のみで治療。
治療序盤は心火や肝火の線も考え、太陵や行間を使用したが、ドーゼオーバーとなることが多かったので照海1穴のみで施術。
腎陰が補された結果、逆気による目の痛みや頭の熱さが解消、腎精が補され、精血が作りやすくなったため、血虚が解消された為、のどのつまり感が解消された。
施術者の思い
痛み止めを飲んでも痛みが止まらない・・・という患者様は数多くいらっしゃいます。
その理由は、「痛み止め」はその場しのぎでしかないからです。軽度のものは痛み止めでごまかしている間に身体が治してくれますが、症状の強いものには効力がありません。
そうなってしまっているものには、本当の意味での根本的なアプローチが必要です。
今回のような症例はごまかしではここまで回復しません。
それが実証された症例でした。
NEW ARTICLE
ARCHIVE
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年7月