2021年01月27日
症例58 慢性腰痛に悩む男性
症例
こんにちは。
今回は慢性的な腰痛でお悩みの男性の症例をご紹介します。
目次
患者様について
O様41歳 男性会社員持病: アトピー、気管支喘息
★1朝起きる時に腰が痛い。★2じっとしている時からの動き始めが痛む。
座って腰をそると痛い。●立って普通に腰をそると痛くないけれども、腰に手を当ててそると痛い。●腰の骨の上を押すと敏感な点がある。●仰向けで寝ると腰が痛む
慢性的に腰痛が痛む方の中には、★1、2のような
という方は多いのではないでしょうか?
以前から腰が痛みやすいO様の腰痛は通常とは少し異なる痛みの出方をしていました。
通常、立って腰をそった時と、座位でそった時とで痛みの出方が異なるということはあまりありません。その点少し特殊な痛みの出方だなと感じました。
慢性腰痛は腰椎の椎間板というところに負荷がかかっていることが多く、その場合★1、2のような痛みの出方をする場合が多いです。
西洋医学的みたて
★1、2の出方また、座位で腰椎をそると痛みが出る傾向から腰椎4番5番の椎間板に圧迫がかかり、やや椎間板がたわみ気味であること。腰椎4番5番を指で押すと敏感に圧痛があること。そのことから腰からうしろに出ている棘突起というでっぱり同士の間にある靭帯や筋肉に炎症があることが推測されること。
東洋医学的みたて
脈:丸く詰まっていて、少し枠が緩い。
舌:淡く、むくみ気味
やや軟便になりやすい疲れやすく、寝ても疲れが取れないお腹が張りやすい、アレルギー性鼻炎
上記の情報から読めるのは、胃腸が弱く、どちらかといえば体は冷えてむくむ方に偏りやすいということです。疲れやすさは胃腸の働きが悪い時に出る症状です。
治療
一診目:胃腸の働きを補うために、右足の甲のツボ(衝陽)と左足の親指の近くのツボ(公孫)に鍼をしました。これらのツボは腰の鎮痛にも働きます。
ただ、この段階では座位で腰を反った時の痛みは残存。立位で腰に手を当てて反った時の痛みも残存。また腰の背骨上を触った時にある圧痛も残存。
また筋肉が疲労しにくいようにする目的で腰にあるツボにも鍼をしました。(腎兪)
腰の背骨上の圧痛、立位で反った時の痛みは軽減しましたが、座位で腰を反った時の痛みは残っていました。
二診目(1週間後):朝起きる時やじっとしている時からの動き始めが痛む。仰向けで寝ることや腰を反った時に痛む。
衝陽左足のツボ(太白)(これらは胃腸の働きを助けるためのツボ)腰のツボ(腰の筋疲労軽減のツボ、腎兪)アトピーや筋肉の緊張を全体的に緩めるために左すね内側のツボなどに鍼をしました。座位で腰を反った時以外は痛みが落ち着きました。
三診目(1週間後):やはり朝起きる時、じっとしている時からの動き始めは痛む。座位、仰向けで寝た時、うつ伏せで寝た時も痛むとのことでした。二診目の時より痛む体勢が増えているのが少し気になりました。また右の背中の上部に鈍痛が出ていました。そこで見立てを立て直し、ツボを見直しました。
足の甲のツボ(衝陽)腰のインナーマッスルが緩み、腰まわりの筋疲労が起きにくくする為の左足のすねの内側のツボ(復溜)腰のツボ(腎兪)この時点で仰向けでの腰痛はなくなる右の首肩から背中を緩める目的と、大腸を温める目的と、腰を緩める目的で左肘にあるツボ(曲池)にはりを打ちました。これで座位で腰を反った時の痛みもなくなりました。
四診目(2週間後):とても調子が良く、仰向けで眠ることができる。座位で腰を反る動作をしても腰の痛みが少ない。三診目と同様のツボで施術全ての痛みが軽減。
五診目(2週間後):数日前、仕事で重いものを持つ作業を行なった後は痛んだが、それまでは特に問題なかった。少し喘息が出ている。四診目と同様のツボ。
六診目(3週間後):以前にあったような痛みはほとんどなく、多少ダルい程度で保っている。右背部上部の鈍痛と喘息が少しあるとのこと。
五診目と同じツボに、左背中上部のツボ(肺兪)を足し、背部の痛みを和らげるのと、喘息を鎮めるよう働きかけた。
腰痛が以前より落ち着いた状態なので、一旦継続治療はご卒業いただいて、辛さが出てきたときにメンテナンスをする方向性に切り替えることにしました。
施術者の思い
O様の腰痛は痛む部位や痛み方が少しイレギュラーで、一般的には少し対処の仕方が難しいタイプの腰痛ではないかと思いました。
アトピー、喘息などの疾患を持つ方は、ストレスや負荷が、体にあったときに過敏に体が反応しやすく、免疫、内臓の状態などの影響が筋肉、関節などさまざまな場所に現れやすいです。
それらを全体的に把握し、対応していく必要のあるお体をされていました。
施術者の私としても難しかったですが、この症例からさまざまなことを勉強させていただけたなと思える症例でした。
小畑
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