2020年09月26日
症例50 急なめまい発作、耳鳴りに悩む女性
症例
今回は、めまいや耳鳴りにお困りだった女性患者様の症例をご紹介します。
目次
患者様について
N様48歳女性職業: 歯科衛生士 主訴 : 耳鳴り、めまい、首〜肩・背部肩甲骨の間あたりの痛み
20年前にメニエル氏病と診断されて以来、数年ごとにめまい発作が現れるということを繰り返してきたN様。
今回も3日前から2〜3年ぶりに強い回転性のめまいに襲われ、今回もメニエル氏病の発作だろうと耳鼻科で診断されたとのことでした。耳鼻科では、めまい止めのお薬とイソバイドという内耳のむくみを減らすため利尿作用を高める薬を処方されたそうです。
現在も、フワフワした感覚があり、寝たときに回転性めまいを感じるとのこと。
その為、夜も眠りにくく寝不足の状態が続き、気持ち悪さで吐いてしまったりすることもあるようでした。
日常生活に支障がある状態が続いていた為、何か良い方法はないかと考えられたようです。
めまいに鍼灸治療が良いらしいと聞いて鍼灸院を検索されたとのことでした。
西洋医学的見立て【めまいに関して】
●起きているとフワフワした感覚があり、寝転ぶと回転性のめまいが起きる。●耳鳴りや難聴などもある。●少し眼振があると言われている。●耳鼻科での診断もメニエル氏病であろうと判断されている。
上記のことから、内耳の中のむくみや、三半規管の神経に過敏があるのだろうとみました。
【肩首や背中の痛みに関して】
上を向いたり、左右に頭を回旋すると肩首が痛み、背中にも痛みが走ることから、頸椎に神経が挟まれる「頸椎症」であろうと判断しました。
↑頸椎症で痛みや不快感の出やすいエリア
東洋医学的見立て
●脈を診ると、細くて弱い。→潤いが枯れていたり、血中栄養素が不足気味のサイン
●舌は縁が赤く、白く厚めの苔が乗っていました。→ストレスがかかり、体の体側に症状が出やすく、頭部に熱が上がっているサイン
●眠りが浅い。
●頭やてのひらに汗をたくさんかく。
●更年期に差し掛かる年齢で、頭部が熱く感じる時がある。
上記のことなどから、体に熱がこもり、熱が頭部に上がっているタイプだと判断しました。
このタイプの方は、内耳がむくんでいるというよりも、内耳の神経が過敏になっているタイプであると考える方が自然です。
↑このケースの場合、頭部に熱があるといっても上の図のようなエリアが過敏になったり、緊張したりします。
施術計画●急性のめまい発作なので、軽減に1ヶ月以上はかからないはずであること。
●2週間ほどの間に強いめまいを軽減していくということ。
●1〜2ヶ月ほどの間にめまいのない落ち着いた状態にしていくということ。
上記計画は一般的な例なので、頻度や回復状況に応じては上記より経過が前後する場合があるということや、N様のご都合に応じて施術頻度を調整するということをお伝えしました。
施術とその経過
●1回目の施術
内耳の高ぶりを抑えるのに頭部のツボ、上半身に上がっている熱を下に降ろし、同時に体を潤し、こもった熱を冷ます為のツボ(足)に鍼をしました。
首や肩の痛みや張りが軽減し、上を向いたり、頭を左右に回旋しやすくなっていたこと。
脈が正常に近づいたこと、や舌の縁の赤みが減ったこと。
などから体には必ず良い作用が起きていると判断。
少し体に脱力感が出たようだったので、ご自宅で少しゆっくり寝ていただくようお伝えし、初診を終えました。
●3日後の2回目施術を行った当日以降、夜に寝ていて回転性めまいを感じることがなく、よく眠れたとのことでした。
首肩や腰の痛みが残るようでしたが、頭部を上に向けたり、左右に回旋しても肩の痛みが強くなることはないようで、初診の時より症状が軽くなっているようでした。首の左右の根本にあるポイントを刺激すると少し肩や背部に痛みが走るというのは残っていました。
初診と同様の方向性で施術した後、やはり少し脱力感があるようでしたが、首や腰の症状は軽減しました。
まだ首肩の症状は完全ではありませんが、落ち着く方向に向いていましたし、めまいそのものは治まっているようでしたので、1週間ほど様子を見て症状が残るようであればご連絡をいただくということにしました。
その後N様から連絡は来ていないので、治療の方向性は悪くありませんでしたし、そのまま症状が落ち着かれた可能性が高いと判断しています。
施術者の思い
今回、急性のめまい発作であったことと、見立ての方向性が良かったのか、当初の計画よりも回復が一気に進んだ例でした。
初診の時と、2回目の状態が相当違っていたので、回転性めまいの辛さを早めに軽減することができ良かったなと安心いたしました。
2回目の施術後、経過を確認できていないことが少し心残りですが、治療の方向性は良かったはずなのでその後問題なく過ごされているはずであると思います。
めまいを起こしている方は、耳の中の平衡感覚を感じる三半規管の中の神経が過敏になっていることが多いです。
今回は、内耳の中のむくみがあるというよりも、神経の過敏の方が強かったタイプであろうと判断しています。
このようなめまいを起こしている方は少なくありません。めまいを起こした際の西洋医学的な対処というのはあまり選択肢がありませんし、薬もさほどたくさん種類があるわけではありません。
耳鼻科を受診し、服薬されてもなお辛さが残る場合はぜひ鍼灸という手段を考えてみてください。
お力になれることがあると思います。
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