2020年02月15日
症例42 原因不明の疲れやすさでお困りの女性
症例
こんにちは。
今回は原因不明の疲れやすさと生理痛でお困りだった女性患者様の症例をご紹介します。
目次
【患者様について】
S様23歳 女性職業: 看護師
主訴:体力がなく疲れやすい食欲がないやる気が出ない生理痛がきつい頭痛が頻繁にある
以前のケガ、病気: 特に診断の下るようなものはなし
【症状の経過】中学や高校生の頃から疲れやすく、食欲もさほどある方ではない。食後に眠くなり動きにくくなる。頭痛が頻繁にある。生理前後は体調が極端に悪くなり動けない為、生理が近づく頃から生理が終わるまでは外出の予定を入れることができない。
最近は看護師として働くようになり、夜勤もあるので以前にも増して疲れやすく、眠気が取れない。食欲もあまり出ない。朝ごはんが食べられない。
【西洋医学的見立て】
学生の頃から疲労が出やすいとのことなので、内科的に甲状腺機能低下症がないかと疑った。健康診断では特に診断は出ていない。今回、鍼灸治療をしてみて、その上で症状になんの変化もないようであれば一度甲状腺に関して検査をしてみるよう薦めた。
生理痛がひどいことから子宮内膜症などの婦人科疾患がないかも疑ったが、婦人科で今までに診てもらった際には何も異常は見つかっていない。
【東洋医学的見立て】
脈はやや丸く、ややピンと張っている。
●ストレスなどからくる自律神経の高ぶりと●胃腸の中に処理しきれない栄養が溜まっている様子
を表している。一部脈が弱い部位があり、体力低下を示している。
舌は縁や先が赤く、細い痩せた舌をしている。赤い斑点もあり、頭部に熱が上がりやすく、体は潤いが枯れ気味で頭がオーバーヒート気味になりやすいように見える。
【治療方針】
疲れやすさは東洋医学では胃腸の働きの低下と考えます。それが起きる理由には、
●先天的な体力のなさ●過労●慢性的なストレス●食の不摂生
など様々な原因があり、順調に回復していくよう持っていくには、胃腸の働きの低下を単に促すだけでなく、このような原因を探って施術していくことが大切になります。
以下の4点を目指して施術していくことにしました。
●過労や先天的な体力の不足を補う●胃腸の働きを活性化する●ストレスを緩和し頭に血が上りにくくする●体を潤すことで、体内に熱がこもりにくいようにする
【治療計画】
疲れやすさが主訴の大半を占めていたS様。ご自宅が院から遠かったこと、年齢的には若く回復力もあるだろうということ。などから少し少なめの頻度で緩やかに治療していくことにしました。
【治療経過】
お体は繊細そうなので、刺激はなるべく最小限に。針の本数は少なめにしました。
初診時まずは、根本的な体力を主る「腎」の働きを補うツボに刺さない針、「てい針」を、
その後、胃腸の働きを補うためのツボに二ヶ所針を、
施しました。
1週間後、2回目の来院時、
あまり変化を感じなかったようでした。食後の眠気が少しマシだったとのこと。ただ、1週間の間に頭痛が2回でて薬を飲まなければいけなかったそうです。
そのため、ツボを変えて調整をすることに。胃腸をしっかりと活性化させ、頭へののぼせが起きにくいように働きかける必要がありました。
今度は二ヶ所のツボで。
胃腸の働きを促しつつ、体力を補いつつ、頭へののぼせが起きにくいようにしつつ、体を潤わせるツボに針を、
もう一ヶ所は、ストレスから頭に血が上るのを抑えるためのツボに針を、
施しました。
すると3週間ほど経った3回目の治療の際、変化が起きていました。2回目の施術後、食欲が出て頭痛も減ったとのこと。
3回目の施術以降は月に一度のペースで同様の施術を繰り返す中で、食欲、疲れやすさ、頭痛の頻度がだんだんと改善していきました。
治療を5回ほど進める中で生理痛や生理前のイライラ、しんどさが軽減しにくかったので、ご本人のご希望もあり、漢方薬を併用することにしてみました。
ドラッグストアにある漢方薬からそれまでの見立てから体質に合うものをお伝えさせていただいて飲んでみていただいたところ、生理前の不調が劇的に改善したようでした。
学生の頃から続く不調。S様はある程度先天的にお体が不調に陥りやすい傾向があります。
その為メンテナンスは継続した方が体は状態を保てるだろうということで、その後もお体のメンテナンスを兼ねて1ヶ月〜1ヶ月半に一度ご来院いただいており、以前よりはかなり活動的に動いておられ、趣味の旅行も毎月楽しんでいただけています。
【使用した主なツボ】湧泉、足三里、脾兪、衝陽、行間
【施術者の思い】
大きなストレスがあるわけでもないのに若い時から不調のある方は、先天的な体質から不調が出やすい可能性があります。
でも先天的だからといってどうしようもないわけではありません。
人間の体は先天的なものと、後天的なものを合わせて生活していますから、後天的な部分はコントロールができます。
コントロールできる部分を動かした結果、他人と同様の丈夫さにはなれなくとも、その人のお体の振れ幅の中で、良い方にお体を傾けることができます。
S様の治療はそれをよく表している症例となりました。
施術者として、元気に毎日を過ごしていただけていることが何よりの喜びです。
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