2019年06月03日
症例28 脊柱管狭窄症に悩む高齢女性
症例
こんにちは。今回は脊柱管狭窄症による腰痛や脚の痛みでお悩みの女性患者様の症例です。
目次
患者様について
Cさん女性80代
2年ほど前より腰痛がひどくなり始め、背中をまっすぐに伸ばして歩けなくなり、歩ける距離が短くなってきて、長時間歩くことができなくなってしまったCさん。
過去に両膝を人工関節に換える手術を受けた病院で診察を受けたところ、脊柱管狭窄症と診断を受け、手術を勧められたそうです。
でも膝の手術の後、リハビリが大変だったことや、これ以上たくさん体にメスを入れたくないという思いから、当院へ通院中の妹様のご紹介でご来院されました。
所見
脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)とはどんな病気か。
簡単に言うと、骨の変形で出っぱってきた骨、もしくは骨以外の周りの組織が出っ張ってきて神経を圧迫してしまう病気です。
この病気は神経を圧迫する場所が特殊で、
背骨の後ろ側に縦に走る脊柱管(せきちゅうかん)という骨でできたトンネルの中で圧迫が起きます。
脊柱管の中には、脊髄の延長上にある神経の束が通っています。
この神経の束を骨や椎間板、靭帯などの組織が圧迫するために、腰痛を感じたり、腰から下のお尻や脚に痛みを感じてしまいます。
腰をしっかり伸ばせなかったり、長時間歩くと腰や脚が痛くなって歩けなくなってしまう。
そして少し休むとまた歩けるようになる。
というのが特徴的な症状です。
この症状を間欠性跛行(かんけつせいはこう)といいます。
もちろん、手術によって変形した骨が神経を圧迫している場合、手術で骨を削りとらなければ痛みが治りません。
しかし、骨以外の組織が神経を圧している場合は、その組織のむくみを取り除いたり、組織の新陳代謝を早めることで痛みが軽くなることがあります。
「手術はできるだけ避けたい!」
という方には鍼灸治療は有効な手段になります。
脊柱管狭窄症の場合、完治ということはなかなか少ないですが、歩ける距離が長くなったり、痛みを軽くすることができます。
100メートル先のコンビニまで休憩なしには歩けなかったのが、1時間ほど継続して歩けるようになったりなど、
生活の行動範囲を広がると想像以上につらさが楽になります。
Cさんにはこのような説明を施術前に丁寧にさせていただきました。
Cさんは家にじっとしているより、お出かけしていろんなところに行くのが好きらしく、もっと歩けるようになりたいとのことでした。
Cさんには少なくとも3ヶ月以上治療が必要かもしれませんと前置きして治療を始めました。
脊柱管狭窄症とは背骨の病です。
東洋医学では背骨には督脈という経絡が通っていると考えます。
脊柱管狭窄症でも椎間板ヘルニアなどでも背骨上に問題が起きる病では督脈がしっかり流れるようにしておくというのが痛みを軽くするための最低限の処置になります。
また脊柱管狭窄症は老化と関係がある病です。
ですから体の老化を遅くする治療も必要になります。東洋医学では体の老化は、腎臓の弱りと考えます。
ですから腎臓の力を取り戻せるよう体力を補う施術を行います。
またCさんの体質は基本は冷え体質です。冷えがメインですが、加齢で体力が落ち、潤いまでなくなってきている。
ですから体の冷えと潤いもケアしなければなりません。
とはいえ、ご高齢ですから針数が多いとそれを受け入れる体力がない。ですから針を打てる本数も限られます。
少ない本数で全体の課題をカバーしなければなりません。
治療
頭をひねる必要がありますが、背骨の督脈に働きかけるのに手のツボ、体力を補ったり腰周りの筋肉を緩めるのに足の甲のツボ、を選択しました。
この辺りのツボには冷えをとったり、潤いを与える働きも込められています。
それから腰やおしりのツボや膝裏のツボなどを足して、腰の負担を減らすよう働きかけました。
そのようなツボを選び、毎回微調整を加えながら週に一回施術を続ける中で、4回目から5回目あたりから、帰りに脚が軽くスタスタ歩けるとおっしゃるようになりました。
Cさんはもともと高齢者用の押し車を押して歩いておられます。
腰を伸ばした状態で歩き続けたり、押し車なしに歩き続けることは難しいようですが8回目のご来院時に、こんなことをおっしゃいました。
Cさん「こないだは治療院を出た後、近所の百貨店に3時間ほどおりましたわ。」
私「え、その間喫茶店でも入ってたんですか?」
Cさん「いえいえ、色々お店見てました。ちょっとご飯食べるのにお店には入りましたけどね。
めちゃくちゃ長い時間歩いてるじゃないですか!?
それ以降、守口の某百貨店に行かれたり、北新地駅から歩いて梅田の某高級百貨店に行って店内を数時間歩き回るなど、かなり行動範囲が広くなられました。
押し車を押しての行動範囲ですが、これだけ行動範囲が広がるとご本人の心もかなり明るくなります。
ご来院当初は「家の中を歩くのもつらいから出かけるのが億劫です」とおっしゃっておられたので、ご自身のしたいことをかなりしていただけるようになりました。
とはいえ、この状態を維持していきたいとのことなので、現在もだいたい週に一度のペースでご来院いただいています。
施術者の思い
Cさんの状況を見ながら、生活の質を保って、したことができるよう、無理なく施術を続けていく予定です。
そして毎日笑顔で過ごしていただければこれほど嬉しいことはありません。
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