2024年09月04日
症例115 仕事で胸や息が苦しくなる
症例
こんにちは!副院長の藤森です!
今回は3年前に就職して以降、ストレスにより胸の苦しさ、息苦しさ、仕事前にお腹を下す(過敏性腸症候群)などの症状を発症されていた患者様の症例です。
目次
患者様について
H様 20代 女性
就職後から職場のストレスが多く、だんだんと呼吸がしにくくなったり、胸が苦しくなったり、不安や緊張があるとお腹を下しやすくなったりなどの症状が強くなっていきました。
3年前よりだんだんと悪化していきこのままでは仕事がままならないという状況になり、来院されました。
どのような状態?
呼吸がしにくい、胸が苦しい感じがするという症状は精神疾患やストレスによって自律神経が乱れた時によくみられる症状です。
息がしにくい症状について・・・呼吸は肺が伸び縮みして行われますが、その動きを肋骨の筋肉や横隔膜といった様々な筋肉が行っています。この肋骨の筋肉や横隔膜は「自律神経」によって動きを調整しています。
自律神経が乱れるとこの呼吸に使われる筋肉の動きが悪くなり「息がしにくい」という症状がでます。
胸が苦しい症状について・・・ストレスで精神的に追いつめられている人に多い症状です。ストレスが過度にかかると自律神経の一つである「交感神経」が過剰に働くようになります。
交感神経が働きすぎると、様々な「感覚が敏感」になります。胸が苦しい・痛いなどの症状の時は胸のあたりの感覚神経が敏感になっている時です。
ストレスで精神的に追いつめられている時は胸の感覚神経(痛覚・触覚・圧覚)が敏感になる傾向があります。(私の臨床経験に基づくお話です。)
胸の感覚が敏感になると痛み・圧迫感・ざわざわするなど様々な感覚異常がでます。その一つに胸が苦しいという症状があると考えています。
また仕事に行く前やストレスがかかるとお腹を下しやすくなるという症状は「過敏性腸症候群」と言われたりすることが多いですが、こちらも自律神経が乱れて腸の働きがおかしくなり発症する疾患です。
と、ここまで自律神経の話しかしていませんが、ストレスで自律神経が乱れるだけでここまで色々な症状・疾患が出ます。
どのように考えた?
お身体を診察していくと「胃腸の働き」がかなり低下している所見がみえました。
自律神経が乱れる原因はストレスやホルモンバランスなど様々ですが、実は「体力低下」でも発症します。
体力低下の「体力」とは持久走をたくさん走れる体力とは違い「体の元気を保つ力」のことです。体力があると自律神経が大きく乱れないように調整をしてくれます。
体力落ちて不調が出ている例を挙げると・・・
「歳をとってから眠れなくなってきた」というお話をよく聞きますが、これは体力が落ちて自律神経を上手く調整できなくなったことにより発症していたりします。他にも年齢を重ねていくと若い頃には起きなかった症状がたくさん出ますよね?この全てとは言えませんが多くは体力が落ちて自律神経を上手く調整できなくなったことで発症していると考えられます。
ここで前述していた胃腸の働きが低下しているというお話に戻りますが、
胃腸が正常に働いていないと体を元気に保つための「栄養」が吸収されにくくなります。
必要な栄養が体に入ってこない→体力が低下する→自律神経が乱れるという流れになっていると考えました。
治療は?
1回目:胃腸の働きを正常にして、体力をつけて、自律神経を整えるということをしました。治療間隔は1週間に1回からスタート
2回目:仕事に行く前のお腹の不調(過敏性腸症候群)が軽減。胸・息苦しさも軽減傾向。
3回目:お腹は調子良い。胸・息苦しさは前回同様。
4回目:前回同様のような調子。次回より2週間に1回。
5回目:2週間経つが調子は良い。胸・息苦しさもさらに減少。
6回目:かなり調子よい。
7回目:全然問題ない。とても元気。次回3週間で。
8回目:3週間経っても問題なく、とても元気。
ここまで約2ヶ月で回復しました。
症状は回復したと判断してこれ以降は調子の維持とさらに元気に過ごせるようにしていく治療に以降しました。
施術者の思い
当院において自律神経の乱れの症状でお越しになる方はとても多く、日常的に治療するものであります。今回のH様の症例ではかなりの速度で回復されています。これはH様が20代ととてもお若いためです。
今の段階で自律神経が乱れないように元気を保てるようにしておくと不調をかなり抑えることができ先々のQOL(生活の質)がかなり上がります。
元気になった後は「健康法」として鍼灸を利用するととても良いのではないかなと思います。
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