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2021年05月08日

症例65 手指の曲げ伸ばしが痛い・・・もしかして「関節リウマチ?」

症例


藤森です。今回は、手指の曲げ伸ばしが痛くてお困りだった患者様の症例です。




目次



  1. 患者様について

  2. 西洋医学的見解

  3. 東洋医学的見解

  4. 治療方針

  5. 経過

  6. 施術者の思い





患者様について





N様 65歳 男性 公務員





仕事や実家の農業で手をよく使い、以前からちょくちょく手指を曲げ伸ばしした時の痛みはあったが、だんだん痛みが引きにくくなり鍼灸治療をすることにされました。








西洋医学的見解





関節リウマチとは「膠原病」といわれる自分の免疫システムで自分を攻撃してしまう疾患です。





腱・骨・軟骨などコラーゲンが豊富な部分を攻撃して炎症や障害を起こし、腫れ・痛み・こわばり・重症化すると変形などの症状を引き起こします。





N様の場合は、手指の関節に熱感と腫れが強い、変形などはなし。





拳を軽く握ったり、曲げた状態から伸ばす時に指の関節(特に人差し指と中指)が痛い。特に朝にその症状がきつくでる。ひどいときは夜間の痛みもあるという状態でした。





また右膝の外側に曲げた時や歩行した時に痛みがあるという症状もお持ちでした。





血液検査は「リウマチ因子定量」の数値が107IU/ml(基準値15以下)、「CRP定量(身体の炎症反応)」が0.48mg/dl(基準値0~0.30)とリウマチ因子の値が基準値の7倍でかつCRPの値も上昇していることから、関節リウマチの可能性があります。





ただし、関節リウマチにおいて基準値の7倍という数値は決して高すぎるものではありません。重度だと基準値の20倍ということもあります。今回のケースは数値や症状から軽度または、初期の関節リウマチである可能性があると推測されます。








東洋医学的見解





脈は洪弦滑脈(バイオリンの弦のようにピンと張って、丸みを帯びて、とても強く感じる脈)、栄養過多を示す脈。





舌は紅舌。(真っ赤な舌)





顔も全体的に赤みを帯びている。





問診から、暴飲暴食気味で炭水化物・肉類をよく食べる、イライラしやすい、心配性、暑がり、汗かきなどがある。





以上の情報から「身体が余分な熱」を持っていることが推測されます。身体が余分な熱を持つと炎症系の疾患が発生しやすくなったり重症化しやすくなります。





身体が余分な熱をもつ要因はいくつかあります。





N様の場合は、上記の情報から男性更年期によるホルモンバランスの失調





暴飲暴食によるエネルギー過多。などが考えられました。





これらの熱をもつ要因がリウマチによる炎症を強くしてしまっていると推測しました。







治療方針





関節リウマチは、患部に炎症が起こることで痛みを発します。ですので、炎症を抑えれるよう身体に働きかける必要があります。そのために・・・





ホルモンバランスを調整して余分な熱の発生を抑える・・・足の第1趾と2趾の間にあるツボと土踏まず付近のツボ。(行間・然谷)





過剰な食欲を抑えつつ、余分な熱を発生させる過剰なエネルギーの処理を促す・・・足の甲のツボ。(衝陽・内庭)





を使い炎症を強くしてしまう要因を減らすよう働きかけていきました。





鍼灸治療における関節リウマチの治療は基本的に、病院で処方されるステロイド系または非ステロイド系の抗炎症剤の服薬と並行して行うことが多いです。服薬があった方が回復しやすいとの旨をお伝えしましたが、N様はできれば薬は飲みたくないとの事で治療の初期は服薬は無しで治療を進めることになりました。








経過





治療は週1回からスタート。





1診目:身体の全身でリウマチにより炎症が起こりやすくなっているのか、手指の関節以外で膝の痛みを訴えておられました。それらもふまえて炎症を抑え症状が治まるように施術を行いました。





2診目:膝の痛みは前回より落ち着いている。手指の熱感や関節を曲げ伸ばしした時の痛み、朝のこわばりはある。施術後は炎症が減り、熱感がやや落ち着き曲げ伸ばしがしやすくなりました。





3診目:膝の痛みは軽減。今度は左肩の関節に痛みが出た。手指の関節の痛みや熱感はやや落ち着いている。施術後、肩の痛みは落ち着いた。





4診目:左肩と膝の痛みは無し。手指の関節を曲げ伸ばしした時の痛みや熱感だいぶ落ち着いた。朝のこわばりは残る。ここまで施術開始から1カ月。





5診目:今度は右肩が痛くなった。手指の痛みは落ち着いている。朝のこわばりはあり。





6診目:右肩の痛みは軽減しているが、まだ少しある。あとは現状維持。





7診目:肩の痛みは落ち着いた。手指の症状はある程度落ち着いたまま現状維持。





8-10診目:症状は朝のこわばりのみ気になる程度になった。ここまで約2カ月。





11診目:病院であまり強くない薬だけど一応飲んでみてとのことで「リウマトレックス」という非ステロイド系のお薬が処方され服薬と並行して治療を開始。早速、朝のこわばりが軽減。ここまで約3ヶ月。





12診目:朝のこわばりもあまり気にならない。病院では「あれ?こんなにすぐ効く薬じゃないんだけどなー」と不思議がられたそう。服薬と並行して行えたことで相乗効果を発揮して一気に症状が落ち着いてきました。





現在は治療頻度をだんだん少なくして治療を継続して頂いていますが、服薬と並行して治療を行っているため、ほとんど気にならない状態になっています。








施術者の思い





リウマチの程度には個人差があり、治療は基本的に長期に及ぶことが多いです。N様の場合はリウマチでも軽症の部類に入ります(放置していると悪化しますが)。軽症のうちに治療を行えたため、3ヶ月程度でかなり改善がみられました。また、服薬と並行して鍼灸治療を行うと症状の改善がさらに早まるということが再確認できる症例でした。





逆に服薬しているけど症状の改善が芳しくない場合も、鍼灸治療をしてみる価値は十分にあると思います。


要鍼灸院 とみお院

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